恋人と初めてのデート
恋人という言葉には、何か神秘的なものを感じます。よくお菓子の商品名に使われておりますが、「恋人」と付くだけで、その商品そのもののイメージがガラリと変わってしまうから不思議ですね。なんか魔法の言葉みたいです。私はこの言葉に憧れを抱いていた時期がございます。それは中学校に通っていたときのこと。この年頃はそろそろ異性を意識しはじめる頃でございまして、いくつものカップルが誕生するわけなのですが、なぜだか私には彼女ができなかった。
仲の良い友だちは彼女をつくるわけです。「今日、遊ぼうぜ」ってなふうに誘いをかけても、「ごめん、彼女とデートなんだ」と断れる始末。私は一人取り残された思いでございました。彼女ができないのは、きっと積極性がないからだ、とのアドバイスを受けた事がありますが、どうしてどうして、私は中学時代には何度も女の子に告白を試みているんです。そのどれもが失敗で終わっておりますが。まあ、そんなわけで、私は中学時代にはこの「恋人」という言葉に憧れてました。学校生活でも、友だちのカップルたちは、当時人気のあった恋愛マンガを回し読みなんかして楽しんでましたが、私はといえば、そのようなマンガを一人読んで妄想に耽っておりましたっけ。
なんだか自分が哀れで悲しかったですね。そんでもって、高校は男子校に行ってしまいましたから、ますます女性とは縁遠い世界に入ってしまったんです。中学時代の友だちはといいますと、そのほとんどが共学に行き、彼女をつくって青春を謳歌してる。あのときほど自分の運命を呪ったことはありませんね。私は日々暗くなって行く自分を感じておりました。もしかしたら、自分は一生、女性に縁がないのかも……。
そんな事まで考えていたのですね。しかし、そんな境遇に陥ってもなお、私は「恋人」という言葉に憧れを感じていたんです。マンガでもアニメでも、また小説でも、常に有り得ない恋愛物を好んで一人楽しんでいたんでございます。虚しいですね。
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